2018年3月29日に、ひとつのサービスが終了します。した。
「Yahoo!カテゴリー」
若い人には馴染みがないかもしれません。
でも個人的には感慨深いものがありますし、同様の想いを感じる人も多いはずです。
かつて時代を席巻し、インターネットを牽引したサービスが、ひっそりと幕を下ろすしたのですから。
少しYahoo!カテゴリーの歴史を振り返ってみますので、興味のある方はお付き合いください。
そもそもYahoo!カテゴリとは何?
Yahoo! JAPANのトップページ(PC版)の右上に、小さな字で「登録サイト一覧」と書いてあるのをクリックすると、(2018年3月29日までなら)Yahoo!カテゴリのページに移動しますていました。
スマホ版なら、トップページの「検索」をタップ、表示されたメニューの一番最後の「登録サイト」をタップ、検索ワードを入力せずに「検索」をタップとPCよりも手間のかかるところにありますした。
「登録サイト」という言葉でわかるように、Yahoo!JAPANに登録されたサイトをジャンル別に分類したものです。
WEB全体からではなく、Yahooが登録したサイトだけ(現在最終的には約80万件だそうです)が表示されるのです。
Yahoo!の歴史から
Yahoo!は、1994年にジェリー・ヤンとデビッド・ファイロという2人のアメリカの大学生が、ネット上の興味深いサイトを探してジャンル別ににまとめたのが始まりです。
それを使うとサイト検索しやすいと評判になり、1995年にYahoo!.inkを設立しました。
Yahoo!カテゴリーそのものです。
それに目をつけたソフトバンクの出資を受け、世界にYahoo!のサービスが広がり、日本ではソフトバンクがYahoo!JAPANを開設しました。
Yahoo!カテゴリーは、Yahoo!の原点なのです。
ちなみに、当時のYahoo!のトップページには今でいう「Yahoo!カテゴリ」が表示されていました。「Yahoo!カテゴリ」が入口で、そこから他のサービスを追加してポータルサイトとしての地位を獲得していったのです。
ディレクトリ型検索サービス
現在、Yahoo!カテゴリの説明文は「ウェブサイト、ブログ、SNSのまとめサービス」となっていますが、昔は「ディレクトリ型検索サービス」と呼ばれていました。
検索サービスです。
「こんな方法で検索していたの?」って感じですが、現在と「検索」の意味が違っていたのです。
現在は、知りたい情報を検索します。
しかし、昔は情報ではなく、サイトを検索することが主体でした。
サイトが少ない時代に、自分が知りたい情報がピンポイントで書かれている記事などそうはありません。
ですから「自分が興味つ分野を扱うサイトを見つけること」が検索の主な目的でした。そのための入り口が、ディレクトリ型検索です。
Googleのロボット型検索エンジンが普及しても、「ディレクトリ型検索サービス」にも需要があったのです。
SEO対策としてのYahoo!カテゴリー
2000年代半ばに、ブログの普及によって個人が情報発信しやすくなりサイト数が急激に増加しました。
それにともない、ディレクトリ型検索サービスの利用者は少なくなっていきます。
しかし、別の面で大きな存在感を示していました。
SEO対策です。
Yahoo!カテゴリは、審査に合格した優良なサイトだけが掲載されているリンク集です。
ここに登録されるということは、最上級の被リンクを貰うことを意味します。
ですから、いかにしてYahoo!に登録されるかが、SEO上大きなポイントとされていました。
Yahoo!の審査は厳しいとされていたので、Yahoo!に登録されたことは一種のステータスにもなっていました。
無料審査の終了
ディレクトリ型検索サービスは、人間が自分の眼で有要なサイトを見つけ、登録するという大変な作業です。
サイトの運営者による審査申請も受け付けていたので、自分たちで探すより申請されたサイトを審査するだけで手一杯だったでしょう。
個人サイトの審査は無料でした。
そのため、サイトを作れば、SEO目的でYahoo!に審査請求するのが当たり前でした。
審査に落ちても、少し充実させて再審査を要求するだけです。何しろ無料ですから。
要求されれば審査しない訳にはいきません。人手も時間もかかります。
Yahoo!は大変だったでしょう。
そうして作ったディレクトリ検索サービスを多くの人が利用するのなら、アクセスが集まり収入も得られます。
しかし利用者は年々減っていきます。やってられません。
結局、無料審査は廃止され、有料審査だけを受け付けるようになったのです。
審査料は、サイトの種類によっても違いますが、安いもので約5万円。
それでもSEO対策として、有料審査を申請する人が多かったので、審査料で利益を出せていたのでしょう。
SEO効果の没落
有料審査だけとなった時点で、SEOの効果が落ちていくことが決まっていたようなものです。
きちんとサイトを作り込めば、ほぼ審査は通ります。
Yahoo!カテゴリに掲載されているかどうかはサイトの有用性を示すものではなく、Yahoo!に審査料をを払ったかどうかの違いだけになっていきます。
そのようなリンクを、Googleが重要視しなくなるは当然です。
金でリンクを買うようなものですから、スパムと判定されても仕方ないくらいです。
Googleは、Yahoo!カテゴリはスパムと判定しないとは言っていましたが、重要視はされなくなったでしょう。
それ以前に、無料で掲載されたサイトもどんどん古くなります。
徐々にSEO効果が薄れ、最近はYahoo!カテゴリに掲載されてもほとんど効果はなくなっていたようです。
そして終焉
SEO効果もなくなると有料審査を申請する人も減っていき、サービスの終了につながったのでしょう。
海外ではとっくに終了していますし、日本で今まで続いていた方が不思議なくらいです。
個人的には、カテゴリ登録サイト(無料審査時代)をふたつ運営していたこともあり、かなり寂しい想いです。
でも時代を考えると潮時(というより遅いくらい)です。
Yahoo!カテゴリさん、安らかに……
追記
私はヤフーカテゴリ登録サイトを2つ持っていました。
「ヤフーカテゴリに登録されるのは難しい」
とよく言われていましたが、実際はそれほどでもありませんでした。
「日記や雑記サイトは登録されない」
これだけです。
カテゴリに分類するのですから、どのカテゴリにも属さないようなサイトは登録されません。
今でいう「特化ブログ」であれば、大抵は合格するレベルだと思います。
でも当時はそんなサイトが少なかっただけです。
今から考えると、登録サイトをもっと作っておけば良かったと思います。
色々お得なこともありましたので。
参考